2003 Vol.1 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2003年11月30日発行
繰り返し荷重履歴を受けた岩盤のAE 法による初期応力の
推定におけるKaiser効果の妥当性に関する実験的研究
大洞光央・アイダン・オメル・桑江ひとみ・迫田恵三
要 旨
地殻の初期応力推定法の一つとして,カイザー効果に基づくAE(Acoustic Emission)法がある。応力テンソルは2階の 対象テンソルであるため,6つの独立な成分を持つ。したがって,6つの異なる方向に対して1軸や3軸圧縮試験を行い応力 テンソルの各成分を推定する必要がある。カイザー効果により,AE の応答は岩盤が以前に受けた応力レベルを超えた時に変 化する。実際に,岩盤から取り出した岩石を用いて実験を行うと,いくつかの応力レベルでAE の応答に変化が見られるケー スが多数存在する。これは地殻が様々な応力履歴を受けているのことに起因する。したがって,その岩石が受けていた応力は どれかという疑問が発生する。そこで,無応力状態で作成した擬似岩石供試体を使用して繰り返し載荷試験を行いAE の応答 を実験的に確認した。本論文で,実験結果に基づき応力推定法に対するカイザー効果の妥当性を調査し,さらに,地殻の初期 応力推定法としてAE 法の適用性について議論する。