2003 Vol.1 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部 2003年11月30日発行
Pacific Whiting 冷凍すり身のゲル化に伴って起こる
筋原繊維タンパク質の変化と牛血漿粉末添加の効果
加藤 登・及川 寛・安永廣作・矢野 豊・北上誠一・新井健一
要 旨
Pacific whiting 冷凍すり身の熱ゲル化に際して,塩ずり身中のタンパク質に起こる変化と,それに対する牛血漿タンパク 質の添加の効果について検討を行った.
冷凍すり身を解凍後,2.5%NaClまたは2.5%NaClと0.5〜10.0%牛血漿粉末を加えて塩ずりし,塩ずり肉を20〜60度の 間の一定温で2〜34時間予備加熱後,90℃で20分本加熱した.調製された加熱ゲル中の筋原繊維タンパク質組成をSDSPAGE 法によって分析した.
30〜40度で加熱するときミオシン重鎖(HC)は減少して僅かにその多量体を生成するが,50℃以上ではHC の部分分解産 物に相当するX1とX2成分を生成した.また90度,20分の加熱ではHC 及びHC 多量体が消失して多量のX1及びX2成分を 生成した.牛血漿粉末を添加すると,このようなタンパク質組成の変化は添加量に依存して抑制された.
これらの結果と先に報じた塩ずり身のゲル化特性の関係から,牛血漿タンパク質は,HC のX1とX2への分解抑制を介し て,塩ずり肉中の筋原繊維タンパク質のゲル化と,高温における牛血漿タンパク質自体の熱ゲル化とを併せて増強すると考え られた.
全文PDFはこちら(1.2MB) >>>
TOPへ戻る
<閉じる
>