2003 Vol.1 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2003年11月30日発行
「数学の楽しみ」を伝える実践活動
田中昭彦・渡辺 信
要 旨
数学の授業では「数学嫌い」な生徒が増えつづけている.数学と聞いただけで逃げ出したくなる生徒が多い現状を解決する 方法を考えたい.この解決策として数学でも実験をおこない,好奇心を持って数学の現象を眺める試みをしたい.この活動が 「算数を楽しもう」という実践活動となった.

今回の実践報告は『指を使って1024まで数えてみよう』というテーマで実践した.日本の文化の中にあるソロバンの考え方 を用いて,「数(かず)」を数え,自らが主体的に考えることを重視した.この体験の中で算数・数学の楽しさを体験できる. そして算数・数学を「見て・触れて・考える」ことによって新しいことに気が付くことも起こる.不思議と思ったときに算 数・数学を考えてみようと思う心の働きが生じ,自分で実験的な算数・数学を試みることによって楽しいと思うことができる. この段階を飛び越えて,「自分の定理」を発見したならば,数学で証明がいかに必要であるかを会得する.

学校教育において算数・数学を楽しく学ぶことができるようにしたい.生徒・学生に伝えたいことは「知識」だけではなく 「学問の楽しさ」である.