2004 Vol.1 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2004年3月30日発行
駿河湾における海藻植生について
小西由高・林田文郎
要 旨
本研究においては,駿河湾における潮間帯海藻類の種組成と群落特性を明らかにする目的で,1986年以降に同湾内の17調査 地点で得られた結果を総括して検討を行った結果,つぎのような知見が得られた.

1)駿河湾に産する海藻類として,緑藻植物42種,褐藻植物56種,紅藻植物151種の合計249種が得られた.
2)種数は内浦湾が113種で最も多く,ついで田子の100種である.これに対し最も少ないのは中木の37種であった.また,駿 河湾の東岸域に見られる種数は218種で.同湾西岸域の172種に比べ約1.3倍の値を示した.伊豆半島沿岸域では,広くヒ ジキが優占種として出現し,また南伊豆沿岸ではホンダワラ類が優占種もしくは亜優占種であった.一方,内浦湾では内 湾性のアナアオサが優占種,ウミウチワが亜優占種として出現した.
4)潮間帯海藻群落における最大現存量は,中木で490g・生重量/20×20cm(以下,単位は同じ)で最も高く,ついで妻良 の430g であった.一方,宇久須では73g で最小値を示した.
5)駿河湾内の御前崎,用宗,由比,土肥,石廊崎の各地点間における近接率は,御前崎―用宗間が55%で最も高い値が得ら れたのに対し,御前崎―土肥間では32%で最も低い値を示した.