2004 Vol.1 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2004年3月30日発行
わが国の港湾政策の変化と中核的地方港湾の課題
松尾俊彦
要 旨
我が国の港湾政策は大きく変化し始めた.国の財政事情が悪化してきていることから,これまでのように多くの港湾を対象 とした港湾整備ができなくなってきた.しかし,主要な取扱い貨物となってきたコンテナについては,東アジア諸国との港湾 競争も激しくなっており,高規格なコンテナ港湾の整備も求められている.加えて,経済面だけからみた港湾整備ではなく, 厚生面からみた港湾整備も求められるようになってきた.

そこで,我が国政府は,今後整備を行うべき港湾を選択し始め,選ばれた港湾に集中的に予算を配分する方針を固めた.そ のため,地方の港湾は政府から注目され,かつ特徴的な港湾となる必要に迫られている.

本研究では,中核的な地方港湾の今後の課題について検討した.まず,主成分分析とクラスター分析により,地方港湾の特 徴を抽出し,分類を行った.そして,中核的な地方のコンテナ港湾とフィーダ港と位置づけるべき港湾を分類した.さらに, コンテナ取扱いモデルを構築し,港湾までのアクセス道路の整備がコンテナ取扱量に大きく影響を与えることを示した.さら に,港を利用した市民の海への関心を深めるためには,港湾における危険物ゾーンなどの再配置も必要であることを述べた.