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要 旨 |
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サクラエビの成長に対する水温の影響について,数理モデルを用いた解析を試みた.水温を温度帯に区分し,それぞれの区
分ごとに成長量を任意の応答関数で定義した.応答関数を水温帯の出現日数で重み付けた値が平均体長に該当するという,積
算温度を拡張した考え方に基づいてモデルを構築した.Empirical Bayes法に基づいて,データから応答関数を推定した.成
長に関して水温が意義をもつ期間を特定するため,水温データを用いる期間を変えて解析を行い,それぞれのABIC を比較
した.1972から2001年の,駿河湾でのサクラエビ秋漁期の平均体長記録のうち,平均的な19年分の体長,および各年7から11
月の日々の水温記録を資料とした.解析の結果,8月と9月の水温で平均体長を説明するモデルが最適となった.ここで,水
温帯24.5以上25.0℃未満に最も成長を促進する作用があることが示され,この結果は幾つかの既往の知見とも対応するもので
あった.さらに,この温度帯を離れるにつれて起こる成長の低下は,より高い範囲で急激な変化となっていた.本研究の発展
方向として,より自由な発想によるモデル構築と探索的な解析がある.これに基づき,サクラエビの成長特性の詳細な知見が
得られると期待できる. |
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