2004 Vol.2 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部 2004年8月31日発行
Pacific whitingとスケトウダラの混合肉糊の
ゲル化特性と牛血漿粉末の影響
加藤登・及川寛・安永廣作・矢野豊・北上誠一・新井健一
要 旨
異なる魚類の冷凍すり身を混合し,加熱によるゲル形成能上の特徴を,さらに添加する牛血漿粉末との関わりにおいて 検討した. パシフィック・ホワイティングとスケトウダラの冷凍すり身,および両者を異なる量比で混合したすり身を2.5% NaClまたは2.5%NaClと3%の牛プラズマ粉末と塩ずりした.塩ずり肉は30°Cまたは50°Cで予備加熱し,次いで90°C で20分加熱して,予備加熱ゲルと二段加熱ゲルを調製した.両加熱ゲルの破断強度(BS),破断凹み(bs),およびゲル 剛性(GS=BS/bs)を,予備加熱時間を変えて測定した.結果は以下のとおりである. (1) 混合した冷凍すり身から調製した塩ずり肉のBSとbsは30°Cでは予備加熱の進行に伴って増加するが,続く90°C, 20分間の加熱で著しく減少した.この減少は,混合すり身中のパシフィック・ホワイティングの量比には関わりなく 起こった. (2) 混合したすり身を2.5%NaClと3%プラズマ粉末と共に塩ずりすると,塩ずり肉の加熱によるゲル形成能は著し く増加され,二段加熱ゲルのBSとbsは,塩ずり肉中のスケトウダラすり身の量比が大きいほどより高い値に達し た. (3) 予備加熱が30°Cでの場合は,混合した冷凍すり身とプラズマ粉末から形成される両加熱ゲルのBS とbsの間には 直線関係が成立つが,50°Cにおける場合は両値は増加せずに低い値に留まった. 以上の成果から,本実験において混合した冷凍すり身とプラズマ粉末から調製した塩ずり肉は,いわゆる坐りゲル形 成,すなわち30°Cにおける予備加熱時間に依存した著しいBS とbsの増加と,それに続く90°CにおけるBS のさらなる 増加とbs値の僅かな低下,を引き起こすことが明らかになった.
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