2004 Vol.2 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2004年8月31日発行
本州東方海域におけるサンマ漁場と
衛星データから得られる海況と関係
木村典嗣・岡田喜裕・Kedarnath MAHAPATRA
要 旨
サンマ漁場と表面水温の分布との間には密接な関係にあると言われてきたが,クロロフィル-a濃度との関係や潮境に ついて検討が行われていなかった.本研究の目的は,船間通信データから得られるサンマ漁場の短期変動の特徴,サンマ 漁場とクロロフィル-a濃度の関係,サンマ漁場となりうる潮境の数値化について,衛星画像と船間通信データをもとに 検討することである.研究対象期間は,2000年8月〜12月とし,海域はサンマ主漁場が形成される北海道東方沖及び三陸 沖とした.使用したデータは,船間通信データとNOAA/AVHRR海表面水温画像とOrbView-2/SeaWiFSクロロフィ ル-a濃度画像である.その結果,道東沖のサンマ漁獲量の66.0%は最大水温勾配が0.8-2.0(°C/漁場数)の海域に集中 し,三陸沖のサンマ漁獲量の86.4%は,クロロフィル-a濃度が0.6-1.6mg/m3の海域に集中していた.海表面水温画像 とクロロフィル-a濃度画像からもサンマ漁場の特徴,サンマ漁場となりうる潮境の数値化,サンマ漁場とクロロフィル 濃度との関係を捉えられることができることが確認できた.