2005 Vol.2 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2005年3月30日発行
CFD の船体周り流場計算への適用と抵抗評価に関する研究
─その1 波形解析法の応用と造波抵抗─
原 文枝・平山明仁・八木 光
要 旨
CFD (Computational Fluid Dynamics)が船舶設計の有効な武器として実用に供されて以来ほぼ十数年が経過してい る.特に,船体周りの詳細な流場情報や船体抵抗および自航要素の評価に対しては有効であり,船型開発に不可欠とされ ていた船体周りの流場の詳細計測や抵抗のシリーズ試験に要する所要時間の短縮など実際の開発業務の改善に大きく貢献 してきた.このCFD システムの位置づけとしては,有意義な各種の流体力学的情報を提供するが,船型開発の最終段階 では船体抵抗の最終確認のための試験を行わなければならないことも現時点での技術者の共通認識である.

このようなシステムが日常の設計業務に利用されるにつれ,より一層の精度向上の努力も必要であるが,伝統的な系統 的模型試験の結果との相関を明らかにしておくことも求められている.

本研究では市販ソフトウエアーを活用したPC ベースの船型開発用CFD システムを開発し,代表的船型であるTodd のSeries60を対象に波形と造波抵抗に焦点を絞りその評価を実施した.計算結果によれば,船側波形および発散波の波 高分布とも実験結果と比較的良く一致することを示した.また,造波抵抗値についても,波形解析の方法を利用し計算 し,抵抗値とハンプ,ホローの位置ともに適切に計算できることを明らかにした.