2005 Vol.2 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2005年3月30日発行
地震断層近傍における地震動および永久変形に関する実験的研究
太田良巳・アイダン・オメル
要 旨
地震断層によって地盤の振動や地表面の変形が引き起こされ,それによって構造物などが様々な被害を受ける.1999年 の台湾・集集地震,2003年の宮城県北部地震,2004年の新潟県中越地震では断層近傍で上盤と下盤において構造物の被害 や加速度応答に大きな違いがあることが報告されている.これまで地震による地盤の振動に関してはよく研究されている が,地表面断層に極めて近い場所における振動および地盤の変形に関する研究はまれである.過去の研究では断層運動を ジャッキで地盤を持ち上げることで模擬した等速場における地盤内の変形や地表面の変形に注目した研究が多い.しか し,実際の地震は重力場において発生している.そこで我々は断層運動を重力場において模擬できる実験装置を開発し, 断層近傍における地表面加速度応答や地盤の変形を計測した.断層実験では地表面加速度を断層を挟んだ上盤・下盤およ び断層真上で計測を行なった.実験より得られた加速度応答は集集地震や宮城県北部地震で報告された事例と同様な傾向 であった.本論文では断層運動に伴う上盤と下盤に関する加速度応答および地盤の変形について紹介する.