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2005 Vol.2 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部 2005年3月30日発行 |
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「北太平洋における溯河性魚類の系群の保存のための条約」の検討 |
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要 旨 |
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本稿において検討した「北太平洋における溯河性魚類の系群の保存のための条約」[以下,本条約と略称]は,北緯3
3度以北の北太平洋及びその接続海域にある公海において,条約規定の7種類の溯河性魚種を対象とした漁獲の禁止と当
該魚種の混獲を最小化することにより,溯河性魚類の保存を促進し,本条約の締約国である母川国の当該魚類に対する
「第一義的利益」を徹底・強化しようとするものである.そこにおいてはまず,本条約の締約国ではない国・団体が,条約
区域内において条約違反の漁獲・混獲を行った場合,国連海洋法条約及び慣習国際法との関係において,当該漁獲・混獲
の合法性の問題が生じる.次に本条約は,締約国に,自国籍船が本条約規定を免れるために船籍を変更することを防止す
るための措置を義務づけているが,実効性の面で疑義が呈される.更に本条約は,条約違反の漁獲を防止するために,合
法的に採捕された当該魚類の製品であることを証明する原産地証明書に関する計画の策定を予定しているが,その策定に
関しては,締約国間における統一的・厳格な規定の制定が必要であろう.また本条約は,条約違反の漁獲を海上において
直接取り締まる権限を各締約国に与えているが,広大な条約区域をカバーする取締手段の不足が指摘されている.最後
に,本条約の締約国は,当該魚類に対し「第一義的責任」も有しており,自国EEZ 内において,総漁獲可能量とともに
自国の漁獲能力を決定し,その余剰分については他国による漁獲を認めることが,広大な公海海域での当該魚類の漁獲を
禁止し,自国EEZ 内のみでの漁獲に限定した締約国の国際的責務と言えよう. |
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