2005 Vol.2 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2005年3月30日発行
海産性単細胞真正眼点藻Nannochloropsis Oculata ST-3 株に対する ホルムアルデヒドの影響に関する研究
吉田宏亮・石井 洋・小林幸夫・齋藤 寛
要 旨
水産養殖の食物連鎖においてもっとも底辺に位置する植物プランクトンの一種の海産性単細胞真正眼点藻Nannochloropsis oculata(ST-3株)の増殖に対してホルムアルデヒドが与える影響を検討した.ホルムアルデヒド濃度が5ppm 以 下では,増殖に顕著な差はなかったが,6ppm 以上では濃度が高くなるにつれて増殖阻害が大きくなった.特に10ppm ホルムアルデヒドの増殖の場合は,9日間の誘導期が観察された.さらに培養経過に伴う培地中のホルムアルデヒド濃度 を測定したところ,細胞が増殖するに従ってホルムアルデヒド濃度は減少した.10ppm ホルムアルデヒドで増殖した定 常期の細胞を用いて,再び10ppm ホルムアルデヒドに調整した培地で増殖過程を観察したところ,誘導期が9日間から 2日間に減少した.さらに培養経過に伴う培地中のホルムアルデヒド濃度を測定したところ,細胞の増殖と伴に濃度が減 少した.この結果からST-3株はホルムアルデヒドの環境下に適応する能力を持っている可能性が考えられる.10ppm ホルムアルデヒドで増殖したST-3株の細胞内におけるホルムアルデヒド濃度を測定したところ,1.8ppm 検出された. この結果より,細胞内に取り込まれたホルムアルデヒドの約80% は,細胞内に存在する遊離したアミノ基と反応してイ ミンを形成した可能性が考えられる.