2005 Vol.3 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2005年11月30日発行
海底斜面上に設置された重力式灯標に作用する
波力と波浪変形に関する研究
関田欣治・野本由紀夫・吉成岳彦・下地 亮・石川裕和
要 旨
海上保安庁などでは海上重要施設から衝突の回避を船舶に促すため,固定式の航路標識灯標を設置している.このよう な施設は,陸に近いところに設けるため斜面上の平らな浅瀬に据え付けられることが多く,コンクリート製の潜堤基礎と 鋼製の円筒タワーが一体となった重力式海洋構造物である.これに,海底斜面を遡上してくる波浪が作用すると,潜堤基 礎に過大な水平力が作用し全体的な安定性が損なわれる一方,タワー部には衝撃的な波圧が作用し局部変形するおそれが ある.本研究では,斜面を模擬した1/30勾配の人工海底上に平坦部を設け,そこに1/16.3縮尺の灯標模型を設置し,遡 上する波浪の変形や模型に作用する水平波力等を実験的に調べた.さらに,3次元特異点分布法により基礎部に働く波力 水平成分を、さらにNavier-Stokesの理論に基づく数値波動水路解析コードCADMAS-SURF を用いて水路方向鉛直断 面に関わる2次元解析を行い,波浪変形,タワーと基礎に作用する波圧,および波圧から算定される波力を解析し、これ ら解析結果と実験結果を比較した.