2005 Vol.3 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2006年3月31日発行
二魚種混合肉糊のゲル化に伴う筋原繊維タンパク質の
変化と牛血漿粉末の影響
加藤 登・北上誠一・及川 寛・安永廣作・矢野 豊・小関聡美・新井健一
要 旨
スケトウダラ(WP)とパシフィック・ホワイティング(PW)の混合肉糊を用いて,加熱ゲル中の筋原繊維タンパク 質に起こる変化をSDS-PAGE によって追跡し,肉糊のゲル物性の変化との関わりを検討した.1.WPの二段加熱ゲル の物性値は予備加熱に伴って増加し,坐りゲルを形成した.2.PWはゲルを形成しなかった.3.両者を等量混合した肉 糊もゲルを形成しなかった.SDS-PAGE の分析によると,WPの場合は,ミオシン重鎖(HC)の減少に伴ってミオシ ン多量体(HCn)の増加が起こった.一方PWの場合は,HCが激減してHC の分解生成物と思われるX1及びX2成分 が増加した.牛血漿粉末を加えると,4.WP の二段加熱ゲルはより強い坐りゲルを形成した.このとき(X1)と (X2)成分の増加が起こらなくなり,多量のHCnが出現した.5.PW の二段加熱ゲルの物性はやや高値にはなるが,坐 りゲルを形成しなかった.このとき,X1は増加しないがHCnの増加も顕著ではなかった.また6.混合肉糊の場合は, 3% の牛血漿粉末の添加によって坐りゲルを形成するようになり,このときX1の増加が抑制され,HCnの増加がおこ っていた.