2006 Vol.4 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2007年3月31日発行
折戸湾・清水港が駿河湾への環境負荷軽減に果たす役割
福江正治・佐藤義夫・藤川俊秀・井上智裕・鐘ヶ江隆・Catherine N.Mulligan
要 旨
このケーススタデイは,折戸湾(貯木場)と清水港が駿河湾(太平洋)の汚染を防止するための緩衝域として重要な役割を果たしていることを示す.折戸湾は清水港の奥部にあって防波堤で開口部が狭い閉鎖域であり,長い間貯木場として使用されてきた.調査から河川から排出された懸濁物質は重金属などの種々の汚染物質を保持し,湾底に堆積していることが判明した.湾底は嫌気性条件となり,硫化水素が発生し硫化物が生成している.調査結果からは,折戸湾堆積物の重金属含有量は高く,清水港湾口へ向かってその量は減少する.清水港口では重金属濃度は海底堆積物のバックグランド値に一致する.