|
要 旨 |
|
|
|
|
|
清水港内で,2004年から2006年の間に竿釣りと地曳網によって魚類生息調査をおこない,合計113種が出現した.内24
種(8目20科)は,ほぼ周年滞留する魚種であった.他の89種(13目54科)は,水質や餌環境に対する適応性と結びつき
によって移入した種であった.港内の魚類群集構造は,季節毎に来遊する魚種の加入によって動的に変化すると考えた.
成魚の行動圏が狭いとされるカサゴ集団について,清水港と隣接する港湾の遺伝的な変異性と集団構造を解析した.各
集団は,高い遺伝的変異性を示し,集団の類似性が高いことが明らかとなった.この結果から,カサゴ集団の有効サイズ
は,駿河湾全域に広がる大きな集団によって維持されていると考えた.そして遺伝子の分散には,浮遊期の仔魚が重要な
役割を果たしていると推察した.
清水港内への魚類の補給機構として,港外の河口域前線の形成,その周辺における餌生物の分布密度,エントレイメン
ト現象や潮汐運動による流れが重要な役割を担っていると考えた.また,そうした港口周辺の環境形成には,港内に排出
される河川水の動態が,直接的な影響を与えていると考えた. |
|
|