2007 Vol.5 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部 2007年7月31日発行
石垣島および宮古島の琉球石灰岩鍾乳洞における損傷と1771年明和地震との関係
アイダン・オメル
東海大学海洋建設工学科
静岡県静岡市清水区折戸3-20-1
渡嘉敷直彦
琉球大学環境建設工学科
沖縄県中頭郡西原町千原1
要 旨
耐震設計および防災対策上,地域の過去における(特に非計測期)地震活動の定量化は重要である.近年考古地震学において利用されている手法の中で鍾乳洞における石筍やツララ石の損傷を基にする手法が着目をされるようになってきている.現段階で,日本でこのような手法を用いて行った研究例は見当たらない.本研究では,鍾乳洞の石筍やツララ石の損傷を基にする手法を用いて,日本で過去の地震活動を定量化するための初めての試みである.著者らは1771年に石垣島と宮古島の間の海域で発生したと予想されている明和地震との関連で石垣島鍾乳洞と宮古島の中原鍾乳洞を調査した.両鍾乳洞の調査では石筍やツララ石が損傷を受けていることが明確になった.その損傷の一部は,直接1771年の地震と関連し,それと別な損傷は過去に発生した大地震によるものと判断された.日本における石筍やツララ石の損傷を基にする手法は有効的な手法であることは間違いないが,地震以外に発生し得る損傷要因についても十分な配慮が必要である.地震活動が他の日本の活発な地域でも同様な現象は存在し得るので,著者らは本研究をそれらの地域にも発展させることを考えている.
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