2007 Vol.5 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2007年11月30日発行
運動が計算課題遂行に及ぼす影響と
脳機能計測法によるメカニズムの検討
大森肇・澤入正通・窪田辰政・村上繁
要 旨
これまで身体活動と精神活動の関係性について数多くの研究がなされてきたが,それらの結果は必ずしも一致するもの とは言えない.本稿では代表な認知課題の1つとして計算課題に着目し,身体運動が計算課題遂行に及ぼす影響と脳機能 計測法によるメカニズムの解明に関するこれまでの知見をまとめ,以下の構成で概観した.

1.身体運動が計算課題遂行に及ぼす影響
1)運動強度と計算成績
2)運動継続時間と計算成績
3)体力レベルと運動時の計算成績

2.身体運動による脳の覚醒と精神活動への影響
1)逆U字仮説
2)大脳の興奮水準

3.身体運動ならびに計算課題遂行時の神経活動と脳の血液動態
1)計算時の神経活動に対する脳の血液動態
2)運動時の神経活動に対する脳の血液動態

今後は,光トポグラフィー(NIRS topography system)を用いて前頭前野を含めた広い領域にわたり多点で同時計測 することで,脳の高次制御に及ぼす運動の影響とそのメカニズムについてのさらなる研究の発展が期待される.