2008 Vol.6 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2008年03月31日発行
平板接合部の欠陥検知に対する
動的応答特性の応用に関する数値実験
川上哲太朗・青木由香利
要 旨
平板構造は,古くから土木建築構造物の主要な構造部材として用いられてきているが,基本的には平板部材のみでその構造体を構成することは無く,他部材と接合することにより,構造体を形成するものである.この平板部材と他部材との接合箇所に,溶接抜けや割れなどの接合不良が存在した場合,構造体全体へ予想外の損傷を及ぼすことが考えられる.特に,供用開始後の経年劣化に伴う接合箇所の損傷発生を発見することは非常に困難であり,労力と経費の問題も大きい.そこで本研究では,簡便的な非破壊検査手法の開発を行い,点検保守作業の効率化を図ることを目的に,平板接合部に存在する欠陥を平板の動的応答特性の変化より検知することを考え,数値解析実験によりその可能性と有用性の検討を行ったものである.

数値解析実験結果より,平板の動的応答特性を精度よく把握することができ,本件研究で提案した平板の動的応答特性を利用した非破壊検査手法の可能性と有用性が確認された.

キーワード:薄肉平板,欠陥,動的応答特性,非破壊検査,境界要素法