2008 Vol.6 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2008年03月31日発行
台風エネルギーを利用する発電船の基礎的研究
寺尾 裕
要 旨
地球環境の悪化は人類活動の影響であるといわれはじめた.そのためCO2排出減少の努力を行うとともに,自然エネルギーの利用が推進されている.その中でも台風は人類未開発の風力エネルギー資源であるといえよう.その大きさは中型の台風のものでも10^18J であり,1つのもつエネルギーは日本の火力発電量の5倍に達する.また大型では優にその100倍の大きさを持つ.さらに台風は平均1年間に30個発生する.また地球の温暖化は,大洋の海表面温度の上昇を招き,超大型台風の発生を誘起すると言われる.近年はカトリーナやシドルという大被害をもたらす長巨大なものも発生してきている.もし,そのもつエネルギーを吸収し,また威力を少しでも弱めることができれば悲惨な被害を少しは食い止めることになろう.ここではこの未利用の巨大風エネルギー資源を開発する方法として巨大ヨット型の発電システムを提案する.その上でフィジビリティスタディを行い,可能性を議論する.

キーワード:自然エネルギー,台風エネルギー利用,大型発電帆船