2008 Vol.6 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2008年07月30日発行
ホッケとスケトウダラおよび混合肉糊から調製した
加熱ゲルの品質に対する乾燥卵白の添加効果
鈴木潤・藤井陽介・北上誠一・新井健一・小関聡美・加藤登
要 旨
ホッケ,スケトウダラおよび両者の混合肉糊を,25℃ または40℃で9時間にわたって予備加熱して二段加熱ゲルを調製した.加熱ゲルの破断強度(BS)と破断凹み(bs)をレオメーターで測定し,ゲル剛性(Gs=BS/bs)を算出した.
25℃ で予備加熱するとき,ホッケの二段加熱ゲルのBS とbsは予備加熱に伴って減少する.一方,スケトウダラと両者混合からの二段加熱のBS とbsは明らかに増加し,坐り加熱ゲルの形成を示した.加熱ゲルのBS,bs,およびGsの最大値は卵白粉末が増加するとき,また混合肉糊中のスケトウダラの重量比が増加するほど高い値になった.
40℃ で予備加熱するとき,ホッケ,スケトウダラ,および両者混合からの二段加熱ゲルのBS,bs,およびGsなどの全てが予備加熱に伴って減少し、坐り加熱ゲルが形成されないことを示した.加熱ゲルのBS,bsおよびGsは卵白粉末の添加によって,また混合肉糊中のホッケも重量比が増加するほど高い値になった.
これらの結果は,加熱ゲルの品質に対する卵白粉末の添加の効果は,坐り加熱ゲルと坐りを伴わない加熱ゲルとの間で,明らかに異なることを示している.