2009 Vol.7 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2009年09月30日発行
岩盤斜面の崩壊、地すべりダムおよびトンネルの損傷に重点をおいて
2008年文川大地震の特徴とその災害について
アイダン・オメル
東海大学海洋学部海洋建設工学科
太田良巳
東海大学大学院総合理工学研究科総合総合理工学専攻海洋理工学コース
濱田政則
早稲田大学理工学術院社会環境工学科
伊東淳
早稲田大学セーバース株式会社
大窪克己
中日本高速道路株式会社八王子支社
要 旨
文川地震(中国四川省)は中国時間で2005年5月12日14時28分に発生し,そのマグニチュードは7.9であった.この地震で85000人以上の命が奪われて,350000人以上のケガ人が出た.この地震は,四川盆地の北西端にある走行が北東―南西である逆断層型の龍門山断層(ロンメンシャン断層)の長さ約300kmにわたる破壊に伴って発生した.山岳地帯で数多くの斜面崩壊が発生し,道路,鉄道などに大きな被害をもたらした.また,強い地震動と斜面崩壊によって数多くの建物が全壊あるいは大きな損傷を受けた.本論文で斜面崩壊に関していくつかの対策法紹介した.この地震で数多くのトンネルにおいて無筋コンクリート・ライニングの破壊が見られ,地震に強いと考えられている地下構造物の耐震性について数多くの課題があることが明らかになった.活断層帯で掘削されるトンネルのコンクリート・ライニングについて建設時の設計の考え方がどうあるべきか,既設構造物に関してどのように対策すべきかを提案した.