2009 Vol.7 No.2「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2009年09月30日発行
大型船用錨の把駐性能に関する一考察
佐藤治夫・河内尚・野陳朋樹
要 旨
本研究は,大型船の安全錨泊に寄与できるよう,錨鎖と海底面とのなす角(牽引角度)に焦点を当て,牽引角度の大小による大型船用錨の把駐抵抗(把駐力)の相違を比較検討したものである.実験には3種類の錨(JIS 型錨,AC-14型錨,DA 型錨)を用いた.把駐抵抗は,錨を小型舟艇の船尾より曳引し,その曳索張力(把駐抵抗)をロードセルで測定し求めた.その結果,DA 型錨が一番高く,安定した把駐抵抗を示し,AC-14型錨は牽引角度15°まではDA 型錨とほぼ同じ錨効きを示した.また,JIS型錨は他の2錨に比べ小さい把駐抵抗となった.この研究が,船舶の走錨による海難事故の減少に少しでも役に立てばと考えている.