2009 Vol.7 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2010年01月30日発行
西丹沢における複合深成岩類のフォリエションと構造について
藤本俊二・金容義
要 旨
丹沢山地は南部フォッサマグナ地域および伊豆―小笠原弧北端部に位置している.また島弧地殻の形成を解明するのためには,重要な地域となっている.地質構造的には中央部に斑れい岩とトーナル岩からなる複合深成岩類が分布する.この深成岩類を取り囲むように新第三紀丹沢層群が形成し,ドーム状構造を呈する.
丹沢山地に分布するトーナル岩に於いて大又沢以西でフォリエイションが確認されるが,以東では確認できないと報告している(滝田,1974).しかし,最近の研究成果(金丸・高橋,2005)や本調査に於いても,大又沢以東の西丹沢においてもフォリエイションの存在が明らかになった.フォリエイションは概ね岩体に沿う形でNW-SE 方向の走向を呈して,傾斜は60°〜88°と急であることが確認された.化学分析の結果から,丹沢複合深成岩類に於いてEuの異常が認められない.