2011 Vol.9 No.1「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2011年6月20日発行
西表島浦内川における微量元素(Mn, Fe, Ni, Cu, Zn)
濃度を支配する要因
高橋理恵・遠藤太郎・横山由香・佐藤義夫・安田訓啓・福江正治・澤本彰三
要 旨
本研究では浦内川の微量元素濃度を支配する要因を明らかにするため,2005年9月3日と5日の下げ潮および上げ潮時に河川水試料を採取し,微量元素を測定した.浦内川におけるMn,Fe,Ni,CuおよびZn濃度は,日本の非汚染河川水中の濃度と同程度であった.浦内川の微量元素濃度は,下げ潮時および上げ潮時の双方において上流域よりも中流域や下流域で1.3-5.2倍高い傾向が見いだされた.この現象は,水位の潮汐周期変動に伴って浦内川流域のマングローブ水域の底泥中で起こっている有機物の分解に伴う底泥環境の変動や地下水(伏流水,浸透水など)と密接に関わっているものと推察された.