2011 Vol.9 No.3「海ー自然と文化」東海大学紀要海洋学部  2011年3月20日発行
海洋性細菌SMM-7株のホルムアルデヒド減少能に関する基礎研究
石井 洋・前田孝史・井上亮一・齋藤 寛
要 旨
高濃度ホルムアルデヒド(FAD)で増殖可能な海産性細菌. SMM-7株を有機栄養培地で培養後,遠心を行い,細胞と培養液に分け共に回収した.細胞はリン酸緩衝溶液で洗浄してからホモジナイズと遠心を行い,上澄みを細胞抽出液とした.この時,3回目に使用したリン酸緩衝溶液のみ回収した.抽出液,培養液,リン酸緩衝溶液に10ppmFADを添加後,Nash法でFAD濃度を測定した. また,加熱処理した各試料中のFADについても検討した.その結果,抽出液で顕著に減少したが,加温した時そのFAD減少が抑制された.以上より,SMM-7株のFAD分解経路は細胞内由来であり,また,SMM-7株内に存在するFAD減少に関与する物質は酵素である可能性が示唆された.