海洋実習で、ユニークな姿の深海生物を採集
 
 海洋学部水産学科が実施した海洋実習で、ボウエンギョという深海生物が採集
されました。
 ボウエンギョは、その名(望遠魚)のとおり双眼鏡のように目が飛び出たような
姿をしています。そのユニークな姿から、数年前に話題になった本『へんないき
もの』に取り上げられたり、清涼飲料水のおまけの題材になったりして、深海魚
好きの人には有名な種類です。

 この海洋実習は、5月6日から12日までの7日間で、水産学科の3年次生約
100名が、清水港から屋久島まで海洋調査をしながら往復したものです。ボウエ
ンギョは、足摺岬沖約200kmの海域で、水深1,000mから表層までネットを曳いた
ところ採集されたものです。
 体長18.5cm、尾びれを含めた全長は35.5cmの成魚です。
 ボウエンギョは、熱帯・亜熱帯水域で採集されていますが、日本近海で採集さ
れた報告はありません。
 仔稚魚は水深500mより浅い層で、成魚は水深500〜2000mの層に生息しています。
ちなみにこの種類は雌雄同体と考えられています。
 
 本やおもちゃでは知られているボウエンギョの標本を、一般市民のみなさんに
も是非見ていただこうと、海洋実習で採集された深海魚の中から4種(ホウライ
エソ・ヨコエソ・ムラサキホシエソ・ホソワニトカゲギス)とともに、5月20
日から8月31日まで、東海大学海洋科学博物館(静岡市清水区)で公開してい
ます。
 博物館では、体長8.7mmのボウエンギョの仔魚の標本も展示されています。ボウ
エンギョは成魚と仔魚の姿が著しく異なります。その形態の違いも見所です。

 公開後、標本は海洋学部に戻され、水産学科の福井篤 研究室で詳しく研究され
ることになっています。

海洋科学博物館のホームページはこちら
http://www.umi.muse-tokai.jp/

「海洋実習とは・・・?」
海洋実習とは、本学の海洋調査研修船「望星丸」に乗船して実施する、海洋学部 必修の実習です。学生は、在学中、原則として3回の海洋実習を受けます。 1回目、2回目は、海洋調査や観測の基本を学び、3回目は各学科の専門の研究 に関係する観測や実験をします。

  双眼鏡のような眼をしたボウエンギョ