東海大学清水校舎危機管理規程

 前 文
 東海地震及び津波発生が予想されている駿河湾奥部に位置する東海大学清水校舎には、総人数
約3,500名が在籍している。地震等の災害が発生した場合、これら多くの学生及び教・職員関係者
の安全の確保と生命を守ることは重要なことであり、必要不可欠である。
 清水校舎における危機管理規程は、地震防災規程、消防規程及び危険性物質防災指針から成り、
主に地震が予告なしに発生した場合を想定して作成されたものであり、地震に伴う火災、危険性
物質による事故発生についても併せて検討し、地震によらない火災、危険性物質による事故発生
時にも適応できるよう配慮してある。

T 地震防災規程
(目的)
第1条 この規程は、大規模地震対策特別措置法第8条の規程に基づき、東海大学清水校舎に次の
   地震防災規程を定め、地震及び津波時の被害の軽減及び人命の安全を図ることを目的とする。

(地震の定義)
第2条 本規程で用いる用語のうち、「地震」とは、地殻またはマントル内に自然に起きる急激な
   変動であり、これによって地面が動揺する現象をいう。ここでは気象庁(1949年)の定め
   る恐怖感を覚える階級W(中震)以上の地震を対象とする。

(用語の定義)
第3条 本規定で用いる用語のうち、「学生」、「教員」、「職員」及び「教・職員」とは、各々
   次のような範疇の者を含めた総称とする。
  1「学生」とは、学部学生、専攻科生、大学院生及びその他(研究生、科目等履修生、聴講生、
   研究生)の者をいう。
  2「教員」とは、専任、非常勤、持任及び兼担の各教員と研究員(訪問研究員を含む)をいう。
  3「職員」とは、常勤及び非常勤の事務職員、技術職員及びその他(委嘱職員を含む)の者を
   いう。
  4「教・職員」とは、上記2及び3に該当する者をいう。

(防災予防措置)
第4条 清水校舎の防火管理者及び火元責任者(第1表)は、地震時の災害を予防するために各種施
   設器具の点検検査に合わせて次の事項を行う。
  1 建物及び建物に付随する施設物(看板、窓枠、外壁等)及び施設内の物品の転倒。落下の可
   能性の有無の検査
  2 厨房内の整理・整頓、火気使用設備器具の転倒・落下防止、自動消火装置、燃料の自動停止
   装置等についての検査
  3 危険物施設における配管等のき裂の有無の検査
  4 その他必要な事項

(訓練の実施)
第5条 防火管理者は、大規模な地震による被害の軽減を図るため、学生及び教・職員に対して次の
   とおり防災訓練を定期的に実施する。
  1 通常時の訓練
   @ 清水市及び町内会等が行う地震防災訓練への積極的な参加
   A 警戒宣言及び地震情報の伝達訓練の実施
   B 学生及び教・職員の避難誘導訓練の実施               
   C 火気使用設備器具等の使用制限又は使用停止訓練の実施
   D 消防用設備器具等の使用訓練の実施
   E その他必要な訓練の実施
  2 発震時(予知のない突発の場合を含む)
   @ 地震情報の伝達訓練の実施
   A 学生及び教・職員等の避難誘導訓練の実施
   B 消防用設備器具等を使用し、初期消火活動訓練の実施
   C その他必要な訓練の実施

(地震防災上必要な教育・広報の実施)
第6条 防火管理者は、学生及び教・職員に次のとおり教育・広報を行うものとする。
   1 大規模地震対策特別措置法の趣旨及び地震知識の教育
   2 警戒宣言、地震情報の収集と伝達方法の教育及び広報の研修
   3 消防用設備器具の取扱いに関する教育
   4 学生及び教・職員等の避難誘導方法の教育
   5 消防計画に定める火災予防事項の教育及び広報の研修

(地震防災応急対策)
第7条 東海大学清水校舎は、学生及び教・職員等の安全な避難誘導及び火気使用器具類の管理
   並びに消防用設備等の点検・管理を実施するため、自主防災組織を第1図のとおり定め、
   それぞれの役割は第2表のとおりである。

(授業時に地震が発生した場合)
第8条 授業担当教員は、授業を直ちに中止し、学生の身の安全を確保するよう最大限の努力を
   払うとともに、必ず清水教学課と連絡をとる。
   1 学生は自分の身を守ることを考え、授業時には机の下に素早く身を隠すこと。また、
    校舎内で実習中の場合は、建物から離れて身の安全を確保する。
   2 窓側に着席している学生は、ガラスが割れて怪我をしないように注意する。また、ド
    ア付近にいる学生はドアを開ける。
   3 地震が治まった時点で、授業・実習・実験担当教員は学生の状況を把握するとともに
    火災発生の防止に万全の注意をする。その後、津波及び火災の可能性に注意しつつ、
    学生を速やかに避難場所(第2図)へ誘導する。
   4 学生会は、「東海大学清水校舎危機管理規程」のもと、対策本部直轄下の緊急出動支援
    班に入り、執行委員長がその班の責任者となる。
   5 防災対策本部長(学部長)は、学生及び教・職員等の避難及び東海大学清水校舎危機
    管理規程に定める措置を完了したときは、地震の規模・場所等の状況を伝達し、学生
    及び教・職員等の避難や帰宅を指示する。
   6 避難場所へ避難した学生は、防災対策本部の指示があるまで、その場に待機する。帰
    宅命令がでたら、学生は授業担当教員に学生証番号と氏名を届け、徒歩で帰宅する(原
    動機付自転車、自動二輪車及び自動車等は使用しない)。

(授業時間外に地震が発生した場合)
第9条 警備者は直ちに緊急連絡網(第3図)に従い学部長、学部長補佐、清水総務課長及び防火管理者
   へ状況を報告するとともに、施設内の火気使用設備器具類の災害防止措置を講ずるものとする。
   1 学部長、学部長補佐、清水総務課長及び防火管理者は、予め定められている緊急連絡網に基づき
    教・職員に連絡する。
   2 緊急連絡網に基づく出勤者は、直ちに警備者と協力して応急対策を実施する。また、防災
    対策本部は自主防災隊を編成し、「東毎大学清水校舎危機管理規程」に沿って行動する。

(突発的な地震に伴う休校措置)
第10条 東海大学清水校舎防災対策本部は、地震による被害の状況によっては、休校措置をとる
    ことができる。
   1 休校措置は、学部長が清水校舎での授業が困難と判断した場合、学長と協議し決定する。
   2 休校期間中における校舎内への入校は、防災対策本部が必要と認めた教・職員及び学
    生のみに限定する。上記以外の者は、学部長の指示があるまで自宅待機とする。
   3 自宅待機の教・職員は、学部長から出勤命令があった場合は、直ちに出校しなければ
    ならない。
   4 休校の解除は、新聞・ラジオ等の広報を使って伝達する。

(備蓄品)
第11条 地震に備え次の品目を備蓄し、その管理は防火管理者があたる。

   1 医薬品
   2 携帯ラジオ
   3 非常食(2〜3日分)
   4 飲料水
   5 生活用品(毛布、懐中電燈、ハンドスピーカー)
   6 トイレの水
   7 非常用電源
     但し、備蓄場所は、1号館脇防災倉庫とする。

(津波予報が発せられた場合)
第12条 津波警報または津波襲来の危険があると判断された場合の情報伝達、避難・誘導につい
    ては、本規定第8条〜第9条に準じるものとするが、避難場所については、本部長が、
    その時の状況に応じて安全と思われる場所を選定し、指示するものとする。

付則
  この規程は、昭和63年4月1日から執行する。
  この規程は、平成7年4月1日に改正した。
  この規程は、2000年4月1日に改正した。
  この規程は、2002年4月1日に改正した。

U 消防規程


(目  的)
第1条 この規程は、消防法第8条第1項に基づき、東海大学清水校舎における防火管理業務に
   ついての必要事項を定めて、火災・その他の災害の予防及び人命の安全防止を常日頃か
   ら図ることを目的とする。

(適応範囲)
第2条 この規程は、本学に勤務し、出入するすべての者に適応するものとする。

(防火管理者)
第3条 防火管理者(清水総務課の担当者)は、この規程実施にあたっては、すべての事務を担当する。

(防火管理者の権限・業務)
第4条 防火管理者は、この規程について一切の権限を有し、次の業務を行う。
   1 消防規程の検討及び変更
   2 訓練の規程、実施
   3 建物、火気使用設備器具、危険物施設の点検
   4 消防用設備等の点検の実施、監督
   5 火気の使用、取扱の指導監督
   6 収容人員の管理
   7 職務権限者に対する助言及び報告

(報告・連絡)
第5条 防火管理者は、次の業務について消防機関への報告、届出を行うものとする。
   1 消防計画書の提出
   2 建物、設備等の設置、変更に関する事前連絡
   3 消防用設備等の点検結果の報告
   4 教育訓練・指導の要請

(自主点検)
第6条 日常における火災予防のため自主点検検査を実施するため、火元責任者(第1表)を定
   める。
                     
(火元責任者の業務)
第7条 火元責任者は次の業務を行うものとする。
  1 担当区域内の火気管理
  2 担当区域内の火気施設、器具、電器設備、危険物施設、消防用設備の日常における維
   持管理
  3 地震時における火気使用設備器具の安全確認
  4 什器、備品、薬品等の転倒防止の確認

(火気の使用制限)
第8条 防火管理者は次の事項について指定または制限するものとする。
  1 喫煙禁止場所及び喫煙場所の指定
  2 火気使用器具等の使用禁止場所及び使用場所の指定
  3 工事中の火気使用の制限及び立会い
  4 火災警報発令時における火気使用の禁止

(臨時の火気使用等)
第9条 次の事項を行おうとする者は防火管理者の許可を得ること。
   1 指定場所以外で火気を使用する場合
   2 火気使用施設器具の設置、変更
   3 催物の開催
   4 危険物の貯蔵取扱または種類数量等を変更する時
   5 改装、模様替をする時

(火気使用時の遵守事項)
第10条 火気等を使用する者は、次の事項を遵守しなければならない。
   1 暖房器具等を使用する場合は、周辺の安全を確認してから使用し、席を離れる時はか
    ならず消火する。
   2 喫煙は指定された場所以外ではしてはならない。

(施設に対する遵守事項)
第11条 避難施設及び防火施設の機能を有効に保持するために、次の事項を遵守しなければなら
    ない。                       
   1 避難口、廊下、階段、通路には、避難の妨害になる物品を置かないこと
   2 防火戸は、常時閉鎖出来るよう管理すると共に、その付近に、延焼の媒介となる物品
    を置かないこと               

(工事人の遵守事項)
第12条 本学で工事を行う者は、次の事項を遵守しなければならない。
   1 溶接、その他の火気等を使用する工事を行う場合は、作業計画を防火管理者に提出し、
    必要な指示を受けること
   2 火気等を使用する作業にあっては消火器を設置すること
   3 指定された場所以外では、喫煙・たき火は行わないこと
   4 火気管理は作業場ごとに責任者を配置すること

(自主検査の方法)
第13条 火元責任者は、担当部署の安全確認を定期的に実施する。

(消防用設備等の点検)
第14条 防火管理者は、消防用設備等の機能を維持管理するため、設備業者と契約を結ぶととも
   に検査時には立会い、点検を行うものとする。尚、自主点検については防火管理者の他、
   自主防災組織の消火班とともに3カ月ごとに外観点検、さらに毎年12月に総合点検を実
   施する。

(点検結果の記録と報告)
第15条 防火管理者は、点検の結果を防火対象物維持台帳に記録するとともに、1年に1回消防
    機関に報告するものとする。

(不備欠陥事項の設備)
第16条 防火管理者は、建築物及び消防用設備等に不備欠陥事項があるときは、改修について自
    主防災対策本部長に報告し、その促進をはかるものとする。

(避難経路図等)
第17条 防火管理者は人命の安全を確保するため、消防用設備等の位置及び避薙経路を明示した
    図面を作成して掲示する(第4図)。

(自主消防活動)
第18条 消火責任者は、前条の消防用設備等の配置図及び避難経路図(第4図)を掲示すると共
   に、火災等が発生したときは、自主消防組織の任務分担に基づき積極的に行動するものと
   する。消火班担当者組織は自主防災組織図(第1図)に準ずる。

(防災教育の内容)
第19条 防災教育の内容は、次によるものとする。
   1 消防規程の周知徹底
   2 火災予防上の遵守事項
   3 防火管理に対する教・職員各自の任務及び責任の周知徹底
   4 安全な作業等に関する基本的事項
   5 震災対策に関する事項
   6 その他火災予防上必要な事項

(消防訓練)
第20条 総合訓練は年1回実施し、必要に応じて随時行う。


付則
この規程は、昭和63年4月1日から施行する。
この規程は、平成7年4月1日一部改正した。
この規程は、2002年4月1日に改正した。
                   
追記

被災者のための清水校舎の開放
 1 地域住民の為に、避難場所として清水校舎を開放する。
  (救護スペース、炊き出し、通信、等)
 2 海上及び空からの補給基地として、清水校舎の運動場を提供する。
  (救援物資の保管と配給基地、ヘリポート、等)
 3 本学調査船「望星丸」との連携を密にし、国、県、市及び地区組織の救護態勢の一端を担う
  べく努力する。
  (人の運搬、移動病院、等など)


警戒宣言とは(静岡県、地震対策資料、NO.103、P6、1991)

1.地震の予知
 周期的に起こった過去の地震の状況や地震の空白域等から、「どこ」で「どのくらいの大きさ」
の地震が起こるかということに加え、科学的な観測機器を使って、地震発生の前ぶれと思われる
現象をとらえ、「いつ」地震が起こるかを予測しようとするのが地震予知です。
 現在、静岡県内には、地震観測のため約250の観測機器が設置されており、そのうち約3分
の1の観測データは、東京の気象庁へ電話回線を利用して自動的に送られ、常時(24時間)監
視されています。
2.判定会の召集から警戒宣言の発令
 気象庁の観測データに、東海地震の前ぶれとみられる異常現象が発見された場合には、ただち
に「地震防災対策強化地域判定会」が召集されます。判定の結果、東海地震が発生しそうだと言
う場合には、気象庁長官はそのことを内閣総理大臣に報告します。内閣総理大臣は閣議で決定し
た後、静岡県の全域を含む6県169市町村にわたる「地域防災対策強化地域」に警戒宣言を発
令することになります。















警内

戒閣

宣総

言理

を大

発臣

令が
広サ同テ

報イ報レ

車レ無ビ

 ン線・

  ・ラ

  半ジ

  鐘オ


3.警戒宣言の意味  警戒宣言の発令には、大きく分けて2つの意味があります。   @「マグニチュード8程度の大地震が発生し」、静岡県を中心とする地震防災対策強化地域では  「震度6以上のゆれに襲われ、建物等に大きな被害を受けるおそれがある」。また、「海岸では大  津波に襲われるおそれがある」という警告です。   A警戒宣言の発令をきっかけにして、国・県・市町村・鉄道・学校・病院等の公共的な機関や民  間の会社・工場、そして各家庭は、あらかじめ自分で定めた計画にしたがって、「地震発生に備え  た対策を始めなさい」という指示です。 警戒宣言が発令されたら  警戒宣言が発令された場合、学内放送または何らかの方法により、発令された旨の伝達がなされる。  その時の学生及び数・職員の対応措置は次の通りとする。  学生 授業中:授業担当者の指示にしたがい、慌てることなく速やかに行動する。    授業中以外:近くの教員または職員の指示を仰ぎ速やかに行動する。  教員 授業中:速やかに授業を中止し、「地震防災規程」第8条に従い、対策本部の指導を受けて         受講者に最も安全と思われる行動をとるよう指示をあたえる。     授業中以外:研究室・実験室等の安全を確認し、(書架・書棚・薬品棚・機材・薬品等の転           倒防止、電気・ガス・水道の元栓確認)、対策本部へ報告し、本部長の指示を           仰ぐ。  職員 防災対策本部へ集合し、各班に分かれ班長または本部長の指示に従う。 突発地震の心得 東海地震は、充実した観測網で予知可能とされていますが、それ以外の地震は突然起こると考え なくてはなりません。突発地震での一般的な心得は次の通りです。   1 机、テーブル等の下へ・・・    丈夫な机、テーブル等の下に身を隠して様子をみる。   2 あわてて外へ飛び出すな・・・    どんな大きな地震でも大揺れは1分程度といわれる。あわてて戸外へ飛び出すと落下物で    ケガをする等の危険が多いので、周辺の状況を確かめて落ちついて行動する。   3 エレベータは絶対に使わない・・・    平常時の場合でも、8号館のエレベータは原則として使用しない。   4 狭い通路、塀ぎわ等に近寄るな・・・    狭い通路、塀、崖の上や下、ブロック塀のそば等にいる時は急いで離れる。   5 図書館の書蔵庫にいる者は・・・    ただちに、閲覧室の机、テーブル等の下に身を隠して様子をみる。   6 指定の避難路から・・・    避難する時は、指定されている避難路から順序よく進む。あわてて出口ヘ殺到するのが一    番危険である。 V危険性物質指針 T.危険性物質の定義 U.危険性物質の保管 V.危険性物質の取扱い W.危険性物質の廃棄処理 X.危険性物質に関した防災訓練 Y.危険性物質に関連した事故への対応 (目的) 1.この指針は、東海大学清水校舎における、危険性物質による事故及び災害の防止につとめ、  被害の軽減、人命の安全を図ることを目的とする。            T.危険性物質の定義 2.「危険性物質」とは、清水校舎内で実験に使用されるもののうち、発火・爆発危険性、有害  危険性(組織損傷、及び中毒や職業病などを起こす)、及び物理的危険性(容器などの破壊  等による傷害などを起こす)を有したすべての物質を対象とする。それに類した物質は、一般   に以下の様に5種類に大別される。        ◎危険性物質:1.発火・爆発性物質         2.有害性物質         3.腐食性物質         4.放射性物質                                 5.高圧ガス U危険性物質の保管 (保管場所の把握) 3.各研究室単位、または学科単位で、5種類の危険性物質の保有状況を把握する。これに基づ き出火や爆発などの危険性の度合いをあらかじめ検討・評価し、必要な対策を講じておく。 (引火・発火、及び爆発の防止)                    4.引火、発火、及び爆発性物質の保管に際し、以下の点を配慮すること。  1)火気のない場所を選ぶ。  2)直射日光を避ける。  3)防火キャビネットを利用する。  4)高温となる場所を避ける。  5)防爆冷蔵庫を利用する。  6)落下防止の対策をとる。  7)保有量を必要最小限にとどめる。  しかしながら、教育・研究上やむなく消防法に定める規定量を越えて所有せざるを得ない 場合に限定して、危険物薬品庫に一時的に随時保管することができる。 (混触危険の回避) 5.混触危険とは、2種類以上の化学物質が接触、混合することにより、もとの状態に較べて、  より危険な状態になることを指す。混触危険には、有害性や腐食性の物質を発生するケース  と、発火・爆発性物質を発生するケースとがある。両ケースを回避するために、特に以下の  点に注意をすること。  1)混触危険を起こしうる物質の組み合わせについての知識をもち、万一物質の漏洩が起こっ   ても、混触危険が起こらない様な物質の保管配置を考えること。  2)試薬棚の転倒防止対策をとる。  3)試薬の転落、散乱に対する防止策をとる。 (ガスボンベの転倒防止) 6.高圧ガスボンベが転倒すると、爆発、漏洩などの一次災害だけでなく、発火・爆発・中毒な  どの二次災害をも招く恐れがあるので、次の点を守ること。  1)ボンベスタンド、あるいは転倒防止用の鎖を設置する。 (不正使用の防止) 7.危険性物質の紛失や盗難を避けるため、次のことを習慣づける。  1)保管室、保管庫の鍵の管理と施錠を徹底する。  2)各物質の購入、使用、廃棄を記録する。 V.危険性物質の取扱い (危険性物質全般に共通する取扱い注意) 8.原料として使う化学薬品ばかりでなく、反応生成物についてもその性状、特に火災・爆発・  中毒などの危険性を知った上で取扱う。 9.基本的な実験マナーを取得しておく。 10.整理整頓を常に心がける。 11.体調がすぐれない時、夜間一人になる場合など、無理な実験は行わない。 12.保護具(実験着、作業着、保護眼鏡、防災面、防毒マスクなど)を使用する。 13.事前に事故対策(消火器の種類、使い方、非常口の場所など)を知っておく。 14.危険性物質を廃棄するときは無害なものにしてから行う。 15.危険が予想される実験を行う場合は、あらかじめ周囲の者に知らせ、対策を立てておく。 (発火・爆発性物質の取扱い上の注意) 16.発火・爆発性物質は、それに熱や火炎、あるいは打撃・摩擦等が与えられたり他の化学物質  との混触により、条件によっては発火や爆発を起こす。従って、発火・爆発性物質を取扱った  り、貯蔵したり、廃棄する場合には、事故防止のため、それらの潜在危険性を十分知った上で、  安全に取扱うことが大切である。発火・爆発性物質には、大別して5種類あるが、以下に各々  の取扱い上の注意点をあげる。  1)不安定物質・爆発性物質(例えば、N−0結合、N−N結合、0−0結合、0−ハロゲン結合をも   つ物質、アセチレン、及びその重金属塩とハロゲン誘導体、シュウ酸の重金属など)   a.多量の取扱いは厳禁である。   b.発熱反応が進行する場合は、制御不能になる恐れがあるので注意すること。   c.金属スパチュラー、及びガラス共栓を使用しない。   d.火源となる有機溶媒を近くに置かない。  2)引火性物質・可燃性物質(引火性物質:各種有機溶媒、二酸化炭素など。可燃性物質:メ   タン、エタン、水素、一酸化炭素、アンモニアなど)   a.タバコ、バーナーなどの裸火や電気スパーク等を近づけない。   b.溶剤蒸気は、一般に空気より重く、床の上を流れて広がるので、遠い位置にある火気に    も注意する。   c.消火器の存在場所を確認しておく。発火の恐れがある場合は、身近に用意をしておく。   d.密閉性容器の上部空間は、爆発限界内にあることが多い。   e.引火性物質を蒸留・環流している時は、冷却水や周囲の化学物質や器材に注意する。  3)自然発火性物質(例えば、有機リチウム、有機アルミニウム、黄リン、還元ニッケル、還   元パラジウム、シラン、ホスフィンなど)   a.空気中で発火することがあるので、窒素、あるいは不活性気体で置換されドライボック    スで取扱う。   b.火源となる有機溶媒などを、近くに置かない。   c.消火器が使用できる準備をしておく。  4)禁水性物質(例えば、アルカリ金属、金属水素化物、金属炭化物、有機金属化合物など)   a.水、及び湿気や皮膚に触れないようにする。   b.乾燥砂を用意しておく。   c.火源となる有機溶媒などを、近くに置かない。   d.廃棄する場合は、必ず無害化する。  5)混触危険性物質(例えば、過酸化ナトリウム、無水クロム酸、過マンガン酸カリウム、さ   らし粉などの酸化性物質と可燃性物質との混合や、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムなど   のオキソハロゲン酸塩と濃硫酸などの強酸との混合など)   a.混触が起こらない様、物質の保管配置に注意する。   b.火源となる有機溶媒などを近くに置かない。   c.消火器が使用できる態勢をとっておく。 (有害性物質の取扱い上の注意) 17.有害性物質の代表的なものは毒物である。これは、吸ったり飲み込んだりした時、人を殺   傷する性質をもつ物質で、シアン化カリウム、亜ヒ酸ナトリウム、ニコチン等多種多様な   ものがある。ここでは、一般的な取扱い注意のみにとどめるが、個々の物質については、   自分の責任で、その取扱いについては確認する必要がある。  1)取扱う前に、各物質の許容濃度や化学的性質などを調べ認識しておく。  2)ドラフト内で扱う。  3)保護眼鏡、防災面、手袋、防毒マスクを着用する。  4)毒性によっては、事前に周囲の人達への連絡を徹底する。  5)多量の取扱いに注意する。  6)廃棄は、それぞれ物質に応じて適当な方法で無害化してから行う。 (腐食性物質の取扱い上の注意) 18.腐食性物質は、人体に接触すると、皮膚や粘膜を強く刺激したり、組織損傷を起こす。氷   酢酸、無水酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸などの強酸、また、ア   ンモニア水などのアルカリ性物質などがある。取扱いには、以下の注意が必要である。  1)保護眼鏡、防災面、ビニール手袋など、保護具を着用することが望ましい。  2)廃棄するときは、必ず無害化する。 (放射性物質の取扱い上の注意) 19.ここでの放射性物質とは、放射性同位元素に限定する。32p、60Co等放射線を発生する同位  元素、及びその化合物と共に、それらを含む混合体で、密閉されていないものと、密閉され  ているものとがある。これらの物質の取扱いは、「放射性同位元素等による放射性障害の防止  に関する法律」により規制され、科学技術庁の承認を得たもののみが可能となっている。従っ  て、ここではこれ以上の言及はしない。                (高圧ガスの取扱い上の注意) 20.高圧ガスの危険性は、それが有害性であることによるもの(アルシン、シアン化水素など)、  及び可燃性をもつことによるもの(シラン系のガス)のほかにガス自身が高圧であることに  よるなどがある。取扱う際に、以下のことに注意すべきである。  1)ボンベは、3年毎に再検査(耐圧、重量など)を受けることになっている。3年経過して   もガスを使用中であれば、詰め換えに際して再検査を受けることになる。  2)ボンベの運搬に当たっては、必ず調整器を外し、バルブを閉め、バルブ保護用キャップを   付け、ボンベ専用の手押車を用いる。持ち上げる際に、バルブ保護用キャップを持っては   いけない。  3)実験台、柱、壁ぎわ等に直立させたボンベは、丈夫なバンド、または鎖を用いて転倒防止   対策をとる。  4)廊下、非常階段など通路にボンベを置かない。  5)調整器には、いろいろな種類があるので使用目的に応じて選ぶ。  6)ガスの使用を中止した時は、ボンベのパルプは必ず閉める。調整器等のバルブも閉める方   が安全上望ましい。  7)使用中、バルブは十分開けておくのが原則である。ただし、アセチレンの場合は、バルブ   は1.5回転以上開けてはならない。 W.危険性物質の廃棄処理 21.使用後も毒性やその他の危険性が高い物質(例えば、海洋学部で、廃棄量が特に多い各種有  機溶媒、ホルマリン、重金属など)は、海洋学部で一括した、業者による廃棄処理を、以下の  要領で定期的に行う。  1)処理に関する窓口は清水総務課とする。  2)廃棄処理は年2〜3回行う。  3)廃棄処理のための容器は、業者指定のものを使用する。  4)処理に出すまでの保管は、原則として各研究室で行う。   但し、量が多く、研究室内での保管に危険性があると認められる場合に限り、危険物薬品庫   に一時的に保管できる。  5)廃棄物質は、処理にそのまま送り出すことができる状態であることを確認し、責任者、物質   名、量などを記した搬入ラベルを必ず貼ること。 22.酸、アルカリ性の廃水は、指定された流しのみから排出できる。(現段階では、指定された   流しは、2,8,及び9号館のみであり、その他の場所、特に3号館、及び海洋研究所には設   置されていない。) X.危険性物質に関した防災訓練 23.危険性物質による被害の軽減を図るため、学生、及び教職員に対して、以下の防災訓練を定   期的に実施する。  1)強酸性、及び強アルカリ性溶液の多量漏洩の場合の処理  2)高反応性物質の散乱に際しての処理  3)化学系物質による火災の消火 Y.危険性物質に関連した事故への対応   事故が起こったときの一般的な注意事項は、事故の規模によっても違うが、特に大切なこと  は、まず自分の安全確保を行うことである。危険物に伴う事故では、二次災害の危険性がある  のでこの点を特に注意して安全を確保することが肝要である。安全が確保されたら事故状況を  把握し負傷者等がいないかを確認する。周りに動ける人がいた場合は実験の指導者等に連絡を  取るように指示するか、自ら連絡を取るようにする。負傷者がいた場合下記に示すような応急  処置を行うが、あくまでも応急的な措置であることを忘れず、必ず医療機関その他で適切な措  置をとらなければならない。実験の指導者は、事故の報告を受けた場合、事故状況の把握につ  とめるとともに、学生の安全確保に最大限の努力を払わなければならない。また、速やかに関  係各方面に適切な連絡をし、状況に応じて避難の命令を出すことも必要である。 (救急処置) 24.応急処置の一般的注意事項について、以下に示す。  1)患者を寝かせる。顔が紅潮している時は、少し頭を下げ、嘔吐がある時は顔を横に向ける。  2)出血、火傷、骨折等の症状を見落とさぬ様に調べる。大出血、呼吸停止、中毒は、特に早   急な処置が必要である。  3)被服類を除去する必要がある時は、無理にぬがせることなく、被服を切り取る。  4)患者をむやみに動かさない。重傷ショックを防ぐため、温かく保つ。  5)意識不明の患者に、水その他を飲まさない。  6)患者に自身の負傷を見せない様にして元気づけ、見物人を遠ざける。 25.化学薬品による傷害の応急処置について、以下に示す。  1)直ちに、汚染された衣服や靴などを脱がせ、付着部、または接触部を、大量の清潔な冷水   で15分以上洗浄する。  2)目に対する処置   素早く、大量の水を用いて15分以上洗い流す。特にアルカリは眼球を腐食するので、よく   水洗いをして、すぐに医者にかかる。  3)吸入に対する処置   できるだけ早く、患者を毛布等にくるんで保温、安静にさせ、新鮮な空気の場所に移す。   鼻をかみ、うがいをさせる。重症の場合は、酸素吸入や人工呼吸が必要である。救出の際、   救助者が中毒しない様に、防毒マスク等を用いる。  4)誤飲に対する処置   大量の水、または牛乳を飲ませ、嘔吐させる。胃、食道の損傷は、数分で死を招くので、   処置は寸刻を争う。与える水は、飲んだ薬品の約100倍必要である。酸に対しては生卵、   アルカリに対しては果汁、酢等も使える。保温、安静にし、ショックや呼吸停止に注意する。 (爆発が起こったときの処置) 26. 1)付近にいる人が被害を受けている可能性が大きいので、まず負傷者の救護を心がける。   2)爆発を起こした装置を、素早く危険のない状態にする。それが困難で、引き続き爆発の    おそれがある時は、速やかに避難する。   3)爆風、飛散物による破壊のため、付近で2次的な事故が起こる危険があるので、爆発した    装置だけでなく、周辺部も点検を行う。   4)爆発により火災が発生した時は、火災発生時の処置を行う。  (爆発が起こったときの処置) 27. 1)火災の発生状況を確認し、「火事だ」と周囲の人に知らせる。   2)適切な消火器による消火を行う。   3)各部局でのルールに従い、担当部署に火災発生場所、及び状況を通報連絡する。   4)電源、ガス源は切る。周囲の易燃料物を出来るだけ速やかに取り除く。   5)被服に着火したら手、または有り合わせの物品でもみ消すか、近くの水をかぶる。さら    に、廊下などをころげてもみ消すのもよい。   6)ドラフト内での火災は、上方への火災の拡大と消火の効果からいって、換気を止めるの    が普通である。ただし、煙、有毒ガスの発生を伴う場合など、状況によっては換気を続け    た方がよく、その判断は、発火物質、及び状況により決める。   7)シラン、ホスフィンどの可燃性ガスボンベの噴出による発火の場合、消火しないで、周    囲の可燃物を除去し、燃焼させる。   8)発火しないで、可燃性ガスが噴出した場合は、なるべくはなれた位置で、電源、ガス源    を切る等、着火源を取り除き、次に窓を開けて換気をはかる。可能であれば、噴出口をふ    さぐとよい。   9)有毒ガスの発生を伴う恐れのある場合は、消火に当たり、防護具をつけるか、少なくと    も風上から消火する。                                                                                                                                                         盲